ここのところの暖かさで、草がニョキニョキ伸びています。あんなに遅れていた山菜も、あっという間に大きくなってきました。
自宅から工房に向かっていると、隣のおばあま(「おばあさん」のこと)とばったり。手には鎌と何かが入った袋。
「あれ、大越さん、ワラビ取ってきたけど、いる?」
「いります!」(即答)
さっそく灰でアク抜きして夕食のお浸しに。新鮮なワラビはアクも少なく、苦みもなく、淡白な味わいの向こうに春の息遣いが聞こえるような味。
春、真っ先に目を出す山菜がアクが強いのは、動物たちに食べられるのを避けるためだそうです。
そんな知恵を植物が持っていても、毒抜きして食べてしまう人間は、本当に厄介な生き物です。
でもおいしいなあ、ワラビは。子どもの頃は何がおいしいのか分からなかったけど、まさに季節を味わう豊かさがあります。
器は2月の登り窯で焼いた松灰釉の鉢。
松の灰が蜂蜜のような色に発色した盛鉢です。6月の東京展示会に出品する予定。
春らしい明るい鉢にワラビと、暖かくなった嬉しさが倍増の夕食でした。
(葉子)
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