2月の登り窯で焼いた草來舎の作品紹介第3弾。
今回は松灰釉の作品です。
登り窯の薪になる赤松。
私達はその赤松を、泰阜の山から間伐で伐り出し、薪にしています。
割ってから一年間は乾燥させ、一回の窯焚きに使う量は数百束。
窯出しが終わったあと、窯の中に残った赤松の灰を、丁寧に掃き出します。
登り窯は1300度近くまで温度が上がるので、数百束燃やしても、残る灰は上の写真通り、わずかにビニール袋一杯分。
でもこれが、宝の灰なのです!
高温で焼き切った灰は不純物が少なく、澄み切った松灰釉を作ることができます。
同じ松灰釉でも、窯の中に酸素をたっぷり送り込んで焼く酸化焼成と、窯を酸欠にして焼く還元焼成では、こんなにも焼き上がりの色が違います。
手前が白土の酸化焼成、奥が赤土の還元焼成。
松灰釉は、薪窯で焼くとその本領を発揮。
赤土では渋く、白土では爽やかに、いずれも優しい中に確かな存在感を漂わせています。
上記の鉢三点は、草來舎オンラインショップでお買い求め頂けます。
草來舎が使っている信楽の土との相性も抜群。
土と、灰と、石。そして薪の炎だけで作り出す1300度の高温。
たったこれだけで、美しくて丈夫な器を生み出すことができます。
手を掛けること、体を動かして働くことを厭わなければ。
私達の先人が積み重ねてきた技を、できるだけ素朴に受け継いでいきたいと思っています。
草來舎のその他の松灰釉の器の販売はこちら。
次回は登り窯の醍醐味、「焼き締め」の作品をご紹介します。
(葉子)