草來舎のやきもの 草來舎の焼物ができるまで

登り窯・焚き上げ

 カテゴリ : ブログ[器と食・里山の暮らし] | 2016年 2月 16日 火曜日
■写真をクリックすると拡大表示します。ぜひ、ご覧ください!■

2月11日に登り窯の火入れをし、14日の朝、焚き上げました。

今回は74時間の窯焚きとなりました。

私達の登り窯は、下から上へ、燃焼室である胴木間と、作品を入れる部屋が1の間から3の間までの全部で4部屋。

窯焚き全体の8割近くの時間を胴木間で焚き続けて窯全体を十分に温め、1の間から順番に2の間、3の間へと焚き上げていきます。

登り窯を一緒に焚く山村留学「だいだらぼっち」の小中学生18人、スタッフ、子ども達の保護者など、仲間総出での窯焚き。

昨年12月にも一緒に登り窯を焚いているので、今年度は2回目の窯焚きです。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

小中学生と一緒といっても、子どもだと侮ることなかれ。

彼らはごくごく普通の小中学生ですが、毎日お風呂とストーブを薪で焚いていることもあり、また先輩達が20年以上登り窯を焚き続けた蓄積を受け継いでいるので、ちょっとフツーではないのです。

子ども達は夜中も交代で窯を焚きますが、ご飯作りや洗濯、掃除、宿題などの普段の生活も回しながらの窯焚きです。

今回の窯焚きに臨むにあたって、私達は温度計だけに頼らずに、窯全体をもっとよく観察し、五感をフル稼働させ、自分達のありったけの知恵を振り絞って焚くことを決めました。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉そのためにまずは窯詰めを全部記録。

子ども達は自分達で窯詰めもしていますが、交代で行っているので全員が全てを見ているわけではありません。

なので窯の中のどこに何の釉薬が入っているか、ひと目で分かる図を起こしました。

私達の釉薬は全て灰釉。

原料となる木の種類や石との調合の割合によって、融点が微妙に違います。

窯の中の温度帯によって入れる釉の種類を決め、それを窯を焚く全員が理解することで、焚き方の考え方の根拠にしていきます。

そして大人数での窯焚きですから、窯焚き当番は4時間の交代制。

当番から当番へいかに情報を引き継ぎ、安定した窯焚きが続けられるかが焼き上がりの成否の鍵を握ります。

常に当番全員が今の窯の状況を把握し、薪くべのタイミングなど焚き方の考え方を理解しているか。

子ども達は小学校4年生から中学校3年生まで。

当番から当番への引継ぎでは、小さな子でも分かる言葉で説明することが大切。

噛み砕いて話すことが、年長の子にとってもより自分自身の理解を深める手立てになります。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

壁には時間ごとの窯の変化、焚き方の考え方、子ども達が気付いたことなどを貼るスペースを設けて、それを見れば火入れから現在までのことが一目瞭然。

年齢や人によって理解力に差はありますが、小さな子でも必死に考えれば、大人を凌駕していく瞬間があります。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

当番は皆で窯の中を観察し、薪の燃え方や熾の残り具合、色、熱さ、器の光り方などを見て薪の太さや本数、どこに入れるかなどを決めます。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

ものすごい熱さを全身で受けながら、

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

薪を受け取り、

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

すばやく薪をくべる。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

ただ薪をくべていけば温度が上がっていく訳ではないので、常にどうやって焚いていくのか、全員が考え抜き、試し、うまくいかなかったらまた考えの繰り返し。

うまく温度が上がっていっても、窯の中は刻々と変化するので、今までのやり方はすぐに通用しなくなります。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

そして窯焚きだけではなく、薪割りも。

窯の状況によって薪の太さを変えるので、それに応じた薪割りも重要な仕事です。

私達の窯焚きに使う薪は泰阜村の赤松

山を持たない私達は地元の方達にお世話になりながら、自ら赤松を間伐し、子ども達も一緒に山から出してきています

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉火入れから50時間以上経つと、胴木間の中はゆうに1300度近く。

窯の中は激しい熱気と目を突き刺すような光で満ち、灰かぶりの器も炎を映す鏡のように表面がゆらめいています。

しかし1の間から上はムラなく温度が上がっているのか、窯の中の変化を見逃さず、状況に応じて焚き方を変え、胴木間から1の間へと上がっていく時を見極めます。

この1の間へ上がるタイミングに失敗すると、窯焚きがこじれやすいので、慎重な判断が必要です。

やがて1の間の火吹き穴からは燭と呼ばれる炎が吹き出し、1の間の中の色も1000度を超える色。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

火入れから58時間で胴木間を焚き終え、1の間へと上がりました。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉1の間からは、あらかじめ割りためておいた細い薪のみを使います。

ここ何年かは順調に温度が上がったこともあり、焼き上がりが酸化気味だったので、今回はしっかり還元になるように焚きます。

くべる薪の本数やタイミング、熾の残し方、空気の取り入れ口や煙突の開け閉めなどでコントロール。

しかも融点が違う釉薬が、それぞれ融け過ぎや融け足らずにならないようにしなければなりません。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉特に常に炎が当たる火前と奥の温度差があまり出ないようにするのが大切。

焦らず、丁寧に、夜も更けて疲れがたまっていく中、慎重な窯焚きが続きます。

温度が上がっていくにつれ、煙突からの火も大きくなり、生きている龍のような炎が。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

1の間から上のそれぞれの焚き上げは、窯の中から色見を出し、実際に釉薬が融けているかを見て判断。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉

部屋ごとの癖もあり、特に3の間は時に暴走したり、逆に温度が上がりにくかったり。

この部屋だけは還元ではなく酸化焼成にしたい部屋なので、熾の残し具合と昇温のバランスに苦労しながらの窯焚きになりました。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉しかも中を見る限り、温度ムラも出ているかもしれない状況。

それでも全体の融け過ぎを避ける判断をして、74時間に及ぶ窯焚きは終わりました。

登り窯 窯焚き 草來舎 陶芸教室 造形教育 美術教育 里山 自然釉 灰釉翌朝、山と積まれた薪も減って静かな登り窯。

でもまだ熱気を孕んでゆらゆらとした陽炎が立ち上っています。

これからゆっくり窯を冷まして窯出しは20日。

期待と不安が入り混じる1週間となりそうです。

そして私達の窯焚きは、泰阜の自然と支え合う仲間があってこそ。

薪である赤松、灰釉の原料。窯を焚ける環境。

赤松の伐倒から始まる長い作業。

あらためて泰阜の人と自然、仲間に感謝。

(葉子)

 

«       »

工房草來舎は夫婦二人の小さな焼き物工房です。
信州伊那谷の南端泰阜(やすおか)村に登り窯と穴窯を築き、薪窯による「焼締自然釉」や、天然の「灰釉」を中心に、日々の暮らしを彩る器を作っています。

20年間に12600人の方にお届けした器は、今やほとんど見られなくなった昔ながらのやり方で焼き上げたものです。器の美しさに、安全・安心を添えてなお手元に届けます。詳しくは「工房草來舎のやきもの」をお読みください。

〒399-1801 長野県下伊那郡泰阜村6218-22 あんじゃね自然学校内
電話番号 0260-25-2171 / FAX番号 0260-25-2850
お問合せはこちらから >>

※制作中は直接電話に出られませんので、取り次ぎとなります。まずは、メールでお問い合せください。



お知らせ

●9月24日(日)~10月1日(日)東京展示会開催!
ご案内ページはコチラのページです。大越、丸山の在廊時間は上記ページの下段でご案内しています。

●10月7日(土)8日(日)、金津創作の森クラフトマーケット(福井県あわら市)に出店します。

 

営業日カレンダー

  • 今月(2017年9月)
              1 2
    3 4 5 6 7 8 9
    10 11 12 13 14 15 16
    17 18 19 20 21 22 23
    24 25 26 27 28 29 30
    翌月(2017年10月)
    1 2 3 4 5 6 7
    8 9 10 11 12 13 14
    15 16 17 18 19 20 21
    22 23 24 25 26 27 28
    29 30 31        
    (      発送業務休日)

検索

 
 
にほんブログ村 雑貨ブログ キッチン雑貨へ


Copyright (C) 草來舎. All Rights Reserved.